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ピアノクインテット(ピアノ五重奏)

音楽関連

ピアノクインテットといえば、ピアノと4つのほかの楽器のアンサンブルを指します。多くは弦楽器4本、ヴァイオリン2,ヴイオラ、チェロです。もちろん木管4本とピアノの編成もあります。

あまり有名な曲は数多くないが、作曲家がかなり力を入れて書いた力作ぞろいです。

有名なものでシューベルトの「鱒」。ブラームス、シューマン、フォーレ辺りでしょうか。

今回は、さらにレアで名作のバックスとブリッジのピアノクインテットを紹介します。

Sir Arnold Bax : Piano Quintet  (バックス :ピアノ五重奏)

アーノルド・バックス(1883-1953) アイルランドをこよなく愛したイギリスの作曲家。

このクインテットは名曲です。なぜ、あまり知られていないのか?バックスのほかの交響曲もしかりだが、演奏は楽ではありません。複雑なハーモニー、変化にとんだテンポ、リズム。しかし、それらが織りなす得も言われぬ響きの洪水は、悦んで溺れたくなる美しさです。

第一次世界大戦の始まる数日前に着手されおよそ1年かけて完成されました。40分強の大作です。

第1楽章 Tempo Moderato con passione – Tempo un poco tranquillo – Tempo primo (情熱を持った中庸の速度ー少し静かにー元の速さで)

心ざわめくピアノのアルペジオに、情熱的な温かい弦楽器の力強いメロディーで始まります。その摩訶不思議な響きの絨毯は、魔法の森の中に入り込んでしまったかのようです。ピアノも背景ハーモニーを奏でたり、リズム系を際立たせたりと、さすが優秀なピアニストであっただけの事はあるバックスのセンスは素晴らしい。ケルト音楽の民族的メロディーも魅惑である。ピアノと弦楽器の絶妙なバランスも楽しいです。

第2楽章 Lento serioso  (ゆっくり)

ピアノの心地よいリズムとアルペジオは、ハンモックに揺られているようです。中間部はピアノの祈りの鐘のような響きと、それに呼応する讃美歌のような弦楽器の対話が美しいです。

第3楽章 Tempo Moderato – Allegro vivace- poco piu lento – Tempo primo – Tempo del Intoduzione – Lento con gran espressione ( 中庸のテンポー快速にー少し遅くー元の速さでーイントロのテンポでーゆっくりとても表情豊かに)

ピアノのバックスがよく使うトレモロの効果を使った響きの絨毯の上に弦楽器が歌う。調性は長調なのに単調との間を揺れ動き、心の揺れをくすぐります。テンポの緩急の移り変わりも絶妙です。最後に壮大なコーダを伴います。第一楽章のモティーフが再現されさらに音色豊かに色付けされています。

是非、生の音で味わいたい一曲です。

初演は、バックスの生涯の愛人、ピアニストのハリエット・コーエンがサヴォイ・ホテルにて。

Frank Bridge : Piano Quintet (ブリッジ:ピアノ五重奏)

フランク・ブリッジ(1879-1941) イギリスの作曲家。ヴァイオリニストでもあったブリッジの弦楽曲はどれも弦楽器の魅力を十分に伝える美しさを持っています。ブリッジは室内楽曲をたくさん書いているがこの五重奏はそのなかでも傑作です。

第1楽章 Adagio – Allegro – Moderato (ゆっくりー快速にー中庸のテンポで)

第2楽章 Adagio ma non troppo – allegro con brio – Adagio ma non troppo(ゆっくりー快速に―ゆっくり)

第3楽章 Allegro con energico (快速にエネルギッシュに)

初めは1904 年から1年くらいで書き上げた4楽章あるものでしたが、のちに2,3楽章が統合され、最終楽章も短くなり1912年に完成されます。演奏時間30分くらい。後期ロマン派のブラームスの影響も感じられます。

弦楽器メロディーラインは、強い意志力と彼の弦楽器愛が感じられます。2楽章は、映画音楽としても使えそう。映像が目の前に広がります。3楽章では、再び1楽章と2楽章のテーマが現れせめぎあいます。ブリッジはかなり、ハードな暗めの音色の印象を持つのですが、この曲は、響きが落ち込み過ぎずピアノの質感も前向きで明るく聴きやすいのではないでしょうか。

この曲も、次の人生くらいには演奏してみたいものです。

 

 

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