ブロックチェーンと内部統制について組織が知っておくべき項目を５つ記述してみました。
１．ブロックチェーンに関するニュースやインターネット上の情報は、誤解や間違いで溢れています。
２．ブロックチェーンはデジタル資産以上のものを含んでおり、それが組織にもたらす恩恵は計り知れないものになる可能性があります。
３．ブロックチェーンは魔法ではなく、コストがかかり、すべてのリスクを排除できるわけでもなく、実際は新たなリスクをもたらすことになります。
４．ブロックチェーン技術の仕組みを知ることは、ブロックチェーンが内部統制や組織全体に与える影響を評価し、管理する上で非常に重要です。
５．ブロックチェーンの採用は選択の余地がないかもしれません。
1.インターネット上の情報は、誤解や間違いで溢れている
ブロックチェーンについての理解を深めるためには、信頼できる情報源を参照することが極めて
重要です。（できれば常に第一次情報に触れることをお勧めします。）
すべての組織が即座に魔法のような商取引でつながり、その中の暗号化されたデータが適時、適切な人と利用できるわけではないことに留意することが極めて重要です。
実際、多くのブロックチェーンが存在し、そのほとんどはお互い簡単にやり取りできず、必要な
情報の多くはブロックチェーン自体に存在していないのです。
Polkadot(ポルカドット)
イーサリアムの共同創設者兼元CTOであるGavin Woodを中心としたWeb3 Foundationが主導して、異なるブロックチェーンが相互運用できる分散型のWeb世界の実現を目指したブロックチェーンを開発していますが容量、速度、利用コスト（ガス代）などの課題を抱えています。
歴史を振り返ると、インターネットの初期段階でも同じようなことがあった（利用環境が限られていた）ことを思い出しています。
ブロックチェーン上に記録される取引のことを指します。例えばビットコインをAアドレスからBアドレスに送金する場合、この取引は取引所などを経由しておらず、ブロックチェーン上で完結しているため、オンチェーンの取引となります。
一方で、ビットコインをイーサリアムに変えたい場合は、両者のブロックチェーンは異なるため、通常は取引所などの第三者を介する必要があり、一度オフチェーン（オンチェーンの対義語）による取引を行う必要があります。イーサリアムで（ブロックチェーン上に）一度に書き込めるトランザクションは、約46.8Kととても小さいため、ほとんどのNFT作品（テキスト、画像、動画などのデジタルデータ）は直接ブロックチェーンに記録されず、その保存場所を指定する「URL（文字列）」のみを、ブロックチェーン上に記録する方法が採られています。
分散型ファイルサーバーであっても、永劫サーバーが存在し続けるとは限りませんので現状多くのNFT作品が（永続性の観点で）完全なソリューションとは言えないのが実情です。
２．組織にもたらす恩恵は計り知れないものになる可能性がある
ブロックチェーン技術は、組織が提供する製品やサービスおよび、それらの提供方法、企業内部の記録管理、データ管理システムの管理、トランザクションの処理を行う方法まで、ありとあらゆるものに影響を与える可能性があります。
３．ブロックチェーンは魔法ではなく、コストがかかる
ブロックチェーンに参加する場合、各参加者は責任、モデル（運営、ガバナンス）、トランザクションのルール、セキュリティプロトコル、インセンティブ、ペナルティ、また必要に応じてコンソーシアムへの参加と脱退のプロセスを理解すべきです。
４．組織全体に与える影響を評価し、管理する上で非常に重要である
ブロックチェーンは、効率性の向上や人的ミスの削減など、適切なユースケースにおいて大きな恩恵を生み出ことにつながります。
ブロックチェーンにおいて最も検討する価値がある事項は以下のような場合が想定されます。
- あるプロセスに対して複数の当事者や仲介者が存在し、全員が同じ情報を記録する
- ビジネスとその関係を管理するために、多くの調整を必要とするプロセスがある
- データの入力や追跡がかなりの手作業で行われる
- 利害関係者が、さまざまな報告書の集計と頻繁なアドホックの報告を要求する
５．ブロックチェーンの採用は選択の余地がないかもしれない
ブロックチェーンは、デジタル資産への投資（直接、間接）、自社の許可型ブロックチェーンの開発、外部の許可型ブロックチェーンへの参加あるいは、その他の活動を通じて、すべての組織に影響を与える可能性があります。
顧客、サプライヤー、パートナーあるいは政府から導入を迫られるかもしれません。
コメント