生まれと功績
ラモーは、バッハ、ヘンデル、スカルラッティ、少し先輩のヴィヴァルディと同時期に生きたフランスの音楽理論家、作曲家。1683年ディジョンでオルガニストの父のもとに生まれる。
法学を目指していましたが、音楽に目覚め始めはオルガニストとして活躍。初めはクラヴサン(チェンバロ)のための曲を50歳を過ぎたころからオペラ・バレエの作曲をします。また、生涯を通して音楽理論、特に和声に関しての理論書を書き続ける。
今では常識の根音和声についての体系的理論書を書き上げた功績は大きい。ピタゴラスから始まった音楽理論だが当時は哲学の分類に入ることも面白い。
クラヴサン
オルガニストであったにもかかわらず、オルガンの作品は残されていない。20歳過ぎから45歳くらいまで3冊のクラヴサン作品集と単独作品、ソロ曲全部で50曲ほど。キュクロプス(一つ目の巨人)、タンブラン、鳥のさえずり、ガヴォットと6つの変奏、未開人など、どの曲も変化に富んで、躍動感ある作品である。ラモーの作品集CDなどを聴いていても、飽きが来ない。日本では、子供の弾く曲というイメージがあるが、コンサートピースとしても十分聴きごたえがあると思う。同時代のバッハやヘンデルとも全く違ったエンターテイメント性に富んだ作品群である。
ラモー:未開人(オペラ、インドの優雅な国々より)
オペラ・バレ
フランスでは太陽王ルイ14世の時代から リュリによってオペラ・バレという分野が花開いていた。
ラモーはなんといってもオペラが楽しい。オペラといってもバレーと一体となった舞台。歌と踊りと音楽で聴衆を楽しませてくれる。音によって違う色の出るチェンバロなんかも試作していた人らしいので、現代に生きていたら、5感を楽しませてくれる作品を作っていたに違いない。
オペラ・バレの部門で20作品くらいあるがなんといっても “les Indes galantes “(インドの優雅な国々)は楽しい作品である。頑固なトルコ人、西のインカ人、東のペルシア人、北米の人々(インディアン)の4幕に分かれる3時間半を超える大作である。まだ、異国の世界が遠い存在であった当時に作られたエンターテイメントショーである。
異教徒の愛の勝利を歌ったエキゾチックなテーマも楽しいし、なんといってもその斬新なハーモニーや機知にあふれた楽想は、全く古さを感じさせない。当時としては複雑怪奇なハーモニーであったらしいが。。
現代とラモー
ラモーの死後しばらく、その作品は上演されることはなかったらしい。20世紀に入ってドビュッシーらが再びラモーを再発見し、その伯濱が徐々に見直されるようになる。
この「インドの優雅な国々」も20世紀になって再演される。
2019年パリオペラ座で、振付師ビントゥ・デンベレによるクランプダンサーとのコラボによる舞台が大ヒットする。現代の都会と政治をラモーの精神はそのままに表現した。賛否両論の大プロジェクト舞台、そのメイキングをコギトーレ監督が映画化した。
多分そのプロジェクトの一つとして行われたコンサート。ブーレーズ指揮、優雅なインドの国々、第4幕より合唱「平和な森」。是非、生で聴いて見たかったコンサート。
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